確定拠出年金とは?仕組み・対象者・給付まで徹底解説

- 確定拠出年金(DC)は、掛金とその運用益の合計額で将来の給付額が決まる年金制度です。
- 「企業型DC」と「個人型DC(iDeCo)」の2種類があります。
- 掛金を出すのは、企業型は会社、iDeCoは加入者本人です。
- 拠出時・運用時・給付時の3つの場面で税制優遇があります。
- 制度は2001年10月にスタートしました。
確定拠出年金とはの結論

確定拠出年金とは、毎月の掛金とその運用益の合計額をもとに、将来受け取る年金額が決まる制度です。
昔ながらの企業年金は「将来いくらもらえるか」が先に決まっていました。確定拠出年金は逆で、「いくら積み立てるか」が先に決まり、もらえる額は運用結果で変わります。
私はFPとして8年、中小企業の従業員の方にこの制度を説明してきました。正直に言うと、最初の一歩で多くの人がつまずくのは「自分で運用する」という部分です。ここを理解すれば、あとはそこまで難しくありません。
1.確定拠出年金とは
確定拠出年金は、加入者が自分で運用商品を選び、その結果で将来の年金額が決まる制度です。

厚生労働省の制度概要によると、確定拠出年金(DC)は掛金とその運用益の合計額をもとに将来の給付額が決まります。拠出額はあらかじめ決まっている一方で、将来の受取額は運用実績で変動します。
制度がスタートしたのは2001年10月。アメリカの「401k」を参考にした仕組みのため、企業型は今でも「日本版401k」と呼ばれることがあります。
確定拠出年金には大きく2種類あります。会社が掛金を出す「企業型DC」と、自分で掛金を出す「個人型DC(iDeCo)」です。どちらも自分で運用する点は同じです。
2.制度の概要
確定拠出年金は「掛金を出す」「自分で運用する」「60歳以降に受け取る」という3つの流れで成り立っています。
企業型DCとiDeCoの違いを、最初にざっくり押さえておくと理解が早いです。一番の違いは掛金を誰が出すか、という点にあります。
| 項目 | 企業型DC | 個人型DC(iDeCo) |
|---|---|---|
| 掛金を出す人 | 事業主(会社) | 加入者本人 |
| 主な対象 | 企業型DCを実施する会社の従業員 | 公的年金に加入する20歳以上60歳未満の人 |
| 運用する人 | 加入者本人 | 加入者本人 |
| 受け取り開始 | 原則60歳から | 原則60歳から |
企業型DCでは、勤務先が制度を導入していれば原則として従業員が加入します。掛金は会社が出してくれるので、自分の財布は痛みません。ここが企業型のうれしいところです。
iDeCoは自分で金融機関を選び、自分で掛金を払います。会社員でも自営業でも、条件を満たせば自分の意思で始められます。
(1)対象者(制度に加入できる者)、拠出限度額等

加入できる人は、企業型DCは制度を実施する会社の従業員、iDeCoは公的年金に加入する20歳以上60歳未満の人が基本です。
日本生命の解説によると、iDeCoの加入対象は原則として公的年金制度に加入する20歳以上60歳未満の人です。会社員、公務員、自営業、専業主婦(主夫)と、立場ごとに細かい条件が分かれます。
企業型DCでは、掛金を出すのは事業主です。会社によっては、その会社の掛金に従業員が自分のお金を上乗せできる「マッチング拠出」という仕組みを用意していることもあります。
拠出限度額は加入者の立場や他制度の有無で変わります。具体的な上限額は勤務先や金融機関ごとに案内が違うので、ここでは断定せず、加入時の書類で必ず確認してください。
(2)運用
確定拠出年金は、運営管理機関が用意した運用商品の中から、加入者自身が選んで運用します。

前述の厚生労働省の制度概要によると、運営管理機関が提示する運用商品数は原則3以上35以下です。簡易企業型年金では2以上とされています。
運用商品は、大きく2タイプに分かれます。元本割れのリスクがない「元本確保型」と、運用実績で元本が増えたり減ったりする「価格変動型」です。
| タイプ | 主な商品 | 特徴 |
|---|---|---|
| 元本確保型 | 定期預金・保険など | 元本が割れにくいが、ふえにくい |
| 価格変動型 | 投資信託など | ふえる可能性があるが、減ることもある |
私はiDeCoを自分でも運用していますが、最初は半分を元本確保型にして、慣れてきてから価格変動型の比率を上げました。いきなり全部を投資信託にする必要はありません。
(3)投資教育
企業型DCでは、事業主が従業員に対して投資教育を行う義務があります。
三井住友信託銀行の解説によると、企業型DCでは事業主に従業員への投資教育義務があります。「自分で運用してください」と丸投げにはせず、会社側が学ぶ機会を用意する建付けです。
実際の現場では、導入時のセミナーで「元本確保型と価格変動型の違い」「複利の効き方」あたりを説明することが多いです。ここで一度きちんと理解しておくと、後の商品選びがぐっと楽になります。
(4)離転職時の年金資産の持ち運び(ポータビリティ)

確定拠出年金は、転職・退職しても制度間で資産を持ち運べます。これをポータビリティと呼びます。
前述の企業年金連合会のQ&Aによると、確定拠出年金は制度間で資産の持ち運びが可能で、加入者ごとに年金資産が区分管理され、残高を確認できます。
転職したときの選択肢を整理しておきます。
- 転職先に企業型DCがあれば、そこへ資産を移して続けられます。
- 転職先に企業型DCがない場合は、iDeCoへ移管します。
- 自営業・公務員・専業主婦(主夫)になる場合も、iDeCoへ移管できます。
(5)給付
確定拠出年金で運用した資産は、原則60歳から受け取れます。

受け取り方は、年金と一時金の2通りがあります。金融経済教育推進機構(J-FLEC)のQ&Aによると、受け取り方法には年金だけでなく一時金もあります。
年金として受け取る場合、前述の三井住友信託銀行の解説によると、原則5年以上20年以下の期間で支給されます。一括でまとめてもらうか、分割で受け取るかを選べる、というイメージです。
どちらが得かは、退職金の額や他の収入によって変わります。税金の計算が絡むので、受け取る前にFPや金融機関に一度相談するのを勧めます。
(6)税制
確定拠出年金には、拠出時・運用時・給付時の3つの場面で税制優遇があります。
前述の企業年金連合会のQ&Aでも、拠出時・運用時・給付時に優遇があると整理されています。正直、この税制メリットこそが確定拠出年金の一番の魅力だと私は思っています。
| 場面 | 内容 |
|---|---|
| 積立(拠出)時 | 掛金が所得控除の対象になり、所得税・住民税が減る |
| 運用時 | 運用で得た利益に税金がかからない |
| 受け取り時 | 年金・一時金それぞれに控除がある |
通常の投資信託だと、利益に約20%の税金がかかります。確定拠出年金の中で運用すれば、その分がまるごと再投資に回せる。この差は、長く続けるほど効いてきます。
3.確定拠出年金と確定給付企業年金の比較

確定拠出年金は「受取額が運用次第」、確定給付企業年金は「受取額があらかじめ決まっている」点が決定的に違います。
似た名前でややこしいのですが、この2つは方向が真逆です。掛金が確定しているのが確定拠出年金、給付(もらう額)が確定しているのが確定給付企業年金です。
| 項目 | 確定拠出年金(DC) | 確定給付企業年金(DB) |
|---|---|---|
| あらかじめ決まるもの | 掛金 | 将来の給付額 |
| 運用する人 | 加入者本人 | 会社・基金など |
| 受取額 | 運用実績で変動する | 原則決まっている |
| 運用リスクの負担 | 加入者本人 | 会社側 |
どちらが良い・悪いではありません。自分で運用してふやしたいならDC、決まった額を確実に受け取りたいならDB、という性格の違いです。勤務先がどちらを採用しているかは、まず確認してみてください。
政策について
確定拠出年金は、公的年金を補う「私的年金」として2001年に導入された制度です。

少子高齢化で公的年金だけに頼りにくくなるなか、自分で老後資金を準備する受け皿として設計されました。前述の出典によると、制度のスタートは2001年10月です。
会社員が加入できる年金として、企業型DCやiDeCoの存在感は年々大きくなっています。三井住友銀行の解説でも、拠出額はあらかじめ決まる一方、将来の受取額は運用実績で変動すると整理されています。自助努力を税制で後押しする、という政策の意図がここに表れています。
よくある質問
相談現場でよく一緒に聞かれる質問を、最後にまとめておきます。
よくある質問
確定拠出年金は、税制優遇が大きく、長く続けるほど差が出る制度です。まずは勤務先の制度を確認し、自分が企業型DCとiDeCoのどちらに当てはまるかを把握するところから始めてみてください。
